末尾最適呼び出し化

東京のWebエンジニアの日記帳

小規模メディアを乱発する小規模WEBベンチャーの何が(開発的に)面白くないか

注意書き

以下に書くことは新卒1年目のバックエンドエンジニアが考えることであって、
小規模メディアといえど複数のある程度賢いはずの大人が一生懸命考えて事業にしているものなので、
当然多分に誤解や狭い知見が含まれていることをご了承ください。

僕の働く環境

前提として僕の働く会社の事業について軽く触れておきます。

僕が本業で働く会社では、
SEO的に勝てそうな分野に対してハイエナ的にWEBメディアを立ち上げるという事業をしています。
コンテンツのジャンルは多岐にわたっていて、「この分野の社会課題を解決しよう」というような信念は無いように見えます。

例えば、労働市場に対して問題意識があって立ち上がったベンチャーであれば、

  • 新卒の就活メディア
  • 中途向けメディア
  • フリーランス向けメディア -人事向けのメディア
  • ・・・

という横展開をしていくのはとても筋が通った話だと思いますが、
弊社は金融・美容・恋愛...等のジャンルのコラム型メディアを打ち出しています。

この信念の無さというか、事業の方向性についての非難についてはまた別の記事で書くとして、
今回は、こういう業態についての話だということをご理解いただければ。

WEBメディアの開発

まず、これを言ってしまうと「なぜそんなところに就職したの?」というマサカリが飛んできそうですが、
WEBメディアの開発は難しくありません。
そして、やることはジャンルにかかわらずほとんど一緒なので技術的に真新しい物も特にありません。

メディアの開発で最も時間を使うのは、SEO対策です。
SEO対策というワードの正しさについては議論しないものとする...笑

Googleのクローラフレンドリーなサイトになるようにサイト構造の見直ししたり、内部リンクがどうのとか、パンくずリスト作ったり、セマンティクスがどうとか、リッチスニペットがどうとか、そのへんのことに一番の時間を使います。  

また、新規機能開発についても、検索軸を増やすようなものばかりです。
例えば、コラムであれば「新着順に表示」「カテゴリから探す」「関連ワードから探す」といった機能を作っていきます。
コンテンツや機能とは関係のない、Google検索で引っかかりやすくするためのものなので、これもSEO対策の一種といえるでしょう。

運用の方々は、
オーガニック流入(検索からのアクセス数)の増減や、
あるキーワードでの検索順位が上がった下がった、という話は面白いのかもしれませんが、
エンジニア的には全くおもしろくないです。

なぜなら優秀な設計やプログラムであるほどアクセスを集めるわけではないからです。
(speed updateの話はしないものとする)
バックエンドを新人エンジニアが書いても、シニアエンジニアが書いても表に表示されるものが同じなら検索順位は変わりません。

こういった状況でプログラムの設計を考えることは、単に今後の開発効率のためになります。
いわゆる「変更に強いプログラム」を考えるだけです。
もちろんこれはエンジニア的には面白いですが、逆に言うと開発の面白さはこれだけです。
他のどんなWEBメディア以外のプロダクトであっても変更に強い設計をするのはあたりまえです。

と、いうようにWEBメディアの開発では一般的なプログラミングで得られる面白さの最低限のものしか得られません。

ユーザビリティ

SEOに関する開発がなくなったら、次に優先度の高いものとして、ユーザビリティを向上するための開発があります。
これは、サイト滞在時間や回遊率を上げるためのSEOチックな側面のあるものと、運用の社員が使うための管理画面の機能開発がありますが、
こと小規模ベンチャーにおいては(少なくとも弊社においては)まともにUI/UXについて議論する人がいないので、
「多分こうしたら便利なんじゃない?やってみて」という仮説を元に実装をします。

技術で食ってないベンチャーにおいては開発は運用の奴隷なので、こういった開発依頼がままあります。
「というか僕はフロントエンドエンジニアじゃねーよ」という依頼も来ます。
小規模ベンチャーだと人材リソースが足りなかったり偏ったりするので、バックエンド/フロントエンドの選り好みは簡単ではありません。
かくして僕はフロントもバックも書かされているわけですが・・・話がそれてしまいました。

エビデンスのない謎の仮説を元にした依頼を脳死しながら実装するのはとても気持ちがいいです。
皆さんも経験していただきたい。

以上のような開発をいっぱいしているので、さぞ弊社のメディアはユーザビリティが高いのだろうなあ(他人事)

さて

思いついた順にいろいろ書いてまとまりがなくなってしまいましたが、
なんとなく面白く無さが伝わって、一人でもWEBメディア乱発系ベンチャーに就職する方が減れば幸いです。

書こうかなと思って文章中にうまく書けなかったことを羅列します

  • 開発がどんなに頑張っても運用やライターが炎上させればそのメディアは潰されます。
  • メディア毎にデティールが異なっていて共通化できる部分はごく限られているので最近話題のマイクロサービスアーキテクチャというのもなかなか難しいものがあります
  • Webメディア開発しているとSEOに詳しくなれますが、SEOの答えはGoogleしか知りえないので輪郭を撫でることができるようになるだけです
  • 基本的にアフィリエイトサイトなので個人で作るものと何も変わりません。というか一人でメディア作ることもあります。会社に所属する意味がわからなくなるときがあります。
  • 得てして企業のHPにはそういう卑しいアフィリエイトサイトを運用していることは載っていないことが多いのでHP上からはわかりません。何してるかわかりにくいWEBベンチャーには気をつけましょう。

以上!